Cloudflare OSの配置手順|自社アカウントへ入れてログインできるまで
要点:会社専用AIは、チャットツールを契約するだけでは作れません。誰がログインできるのか、AIはどの社内データを読めるのか、どの操作から人の承認が必要なのか。ここまで設計して初めて仕事を任せられます。このページのゴールは、自社のCloudflareアカウントへCloudflare OSを配置し、限られた社員だけがログインできる状態までです。社内データの接続はまだ行いません。
最初から全社に配らない
結論から言うと、いきなり全社へ配る必要はありません。次の順序が、安全性と現場定着を両立しやすい進め方です。
- まず1人で動かして、機能を確認する
- 次に、ログインできる社員を限定する
- 最後に、AIが触れる社内データと操作を一つずつ増やす
このページが扱うのは1と2です。3はGatekeeperガイドで扱います。
3つの始め方
方法1:自分のPCだけで動きを見る
機能を短時間で確認したい場合は、公式リポジトリを取得し、pnpmを入れたうえで次を実行します。
pnpm run-local
起動後、ブラウザで http://localhost:8787 を開きます。WranglerとCloudflare Workersのローカル実行環境(workerd)を使い、Cloudflare OS全体を手元で動かす方法です。
公式にも本番用途ではないと明記されています。社内データをつなぐ前の機能確認に限定してください。
方法2:公式のホスト型デプロイを使う
公式のデプロイページから配置する方法です。手早く動く状態にできますが、社内本番では入口と管理責任を自社で持つ方法3を推奨します。
方法3:公式Starterで自社アカウントへ配置する(推奨)
cloudflare-os-starter をベースに、自社のCloudflareアカウントへ配置します。以降はこの方法を前提に説明します。
導入前に必要なもの
公式READMEでは、次の環境が案内されています。
- Cloudflareアカウント
- Node.js 24
- pnpm 11
- Wrangler
- Cloudflare Workers
- KV / R2
- Browser Rendering
- Dynamic Worker Loaders
Workers AI、AI Gateway、Artifactsは任意です。Cloudflare OSはAIを有効にしない状態でも配置でき、後から利用モデルを設定できます。つまり、最初にモデル選定で悩む必要はありません。先にログイン・保存先・権限・監視の土台を確認できます。
費用の考え方は料金・費用ガイドで整理しています。
実際の導入手順
1. Starterを取得して、必要なパッケージを入れる
リポジトリを取得した後、Cloudflare OS本体を含むサブモジュールと依存関係を準備します。
git submodule update --init
pnpm install
pnpm --dir cloudflare-os install
pnpm exec wrangler login
最後のコマンドでブラウザが開き、利用するCloudflareアカウントをWranglerへ接続します。
2. 社員の入口をCloudflare Accessで守る
Cloudflare OSを、インターネットへ公開して誰でも入れる状態にしてはいけません。Starterの標準構成では、リクエストがCloudflare OSへ到達する前にCloudflare Accessが本人確認を行います。
os.example.comのような専用ドメインを決める- そのドメインを対象に、Cloudflare AccessのSelf-hosted applicationを作る
- ログインを許可するメールアドレスや会社ドメインを設定する
- AccessのApplication Audience Tagを取得する
deployment.jsoncにドメイン・Audience Tag・管理者メールを記入する
独自ドメインをまだ使わずに検証する場合は workers.dev を利用できます。ただし社内本番では、入口と管理責任を明確にするため、独自ドメインとAccessを使うほうが分かりやすくなります。
3. deployment.jsonc に会社の設定を書く
主に設定するのは次の項目です。
- CloudflareのAccount ID
- 各Workerの名前
- Cloudflare OSを開くホスト名
- AccessのAudience Tag
- 管理者のメールアドレス
- KVとR2の保存先
- AI機能を有効にするか
- Contextと独自Gatekeeperを有効にするか
KVやR2の項目を null のままにすると、Wranglerが必要な3つのKV NamespaceとR2 Bucketを自動作成します。既存の保存先を使う場合はIDやBucket名を明示します。
4. 設定を検査してから配置する
設定が終わったら、いきなり本番へ出さず先に検査します。
pnpm check
pnpm deploy
pnpm check が設定ミスを確認し、問題がなければ pnpm deploy が必要なWorkerを順番に配置します。配置時にはGatekeeperやError Reporterなどの裏側の仕組みを先に作り、その後で社員が使うCloudflare OS本体を配置します。
5. /admin で会社専用の設定に変える
配置できたらCloudflare OSのURLへアクセスし、Accessでログインできることを確認してから /admin を開きます。ここではコードを再配置せずに次を変更できます。
- 会社名とロゴ
- アクセントカラー
- 社員向けのお知らせ
- AIが守る共通ルール
- 最初に使ってほしいBlueprint
- 利用可能なコネクター
- Contextと独自Gatekeeperの利用可否
ここで最初から全機能を有効にする必要はありません。社員が最初に行う1つの業務だけに絞ったほうが、使われ方と問題点を観察しやすくなります。
完了チェック
公式Starterでは、配置後に次の確認が案内されています。
- 想定した社員だけがAccessでログインできるか
- 管理者メールが正しく認識されるか
- 不要なContextやGatekeeperが無効になっているか
- Error Reporterと各Workerのログを確認できるか
/adminから会社名・ロゴ・AIへの共通指示を変更できるか
ここまで確認できれば完了です。この時点では、まだ社内データを接続したり、AIへ書き込み操作を許可したりする必要はありません。
次のステップ
次は、AIとGitHub・Google Drive・顧客管理・社内データベースの間へGatekeeperを置く工程です。GatekeeperはOAuth認証、権限の制限、操作ログ、人間承認を担当する、AI用の「受付担当」にあたります。
「AIへAPIキーを渡す」のではなく、誰が、どのデータに、どの操作まで行えるかを業務単位で設計します。詳しくはGatekeeperガイドを参照してください。
また、技術的な配置と「価値の出る導入」は別物です。業務選定からPoC・部門展開までの組織側の進め方は導入の6ステップで整理しています。
出典
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