Cloudflare OSとは?仕組み・構成要素をわかりやすく解説

公開: 2026年8月17日最終更新: 2026年8月17日

要点:Cloudflare OS(クラウドフレアOS)とは、Cloudflareが2026年8月にApache 2.0ライセンスで公開した、企業向けのオープンソースAIエージェント基盤です。自社のCloudflareアカウントにデプロイして使い、社内知識と業務システムを安全につないで、社員がブラウザからAIエージェントや業務アプリを利用できるようにします。

最大の特徴は、セキュリティを利用者任せにせずプラットフォーム自体に組み込んだ設計です。すべてのエージェントは権限ゼロで起動し、社内システムへの操作は「Gatekeeper」が1件ずつ仲介・記録します。

Cloudflare OSの基本情報

まず名称と提供形態を整理します。「OS」という名前ですが、WindowsやLinuxのようなオペレーティングシステムではありません。企業の中でAIエージェントを動かすための「業務基盤(プラットフォーム)」を指しています。

Cloudflare OS の基本情報
名称Cloudflare OS(クラウドフレアOS)。読み方は「クラウドフレア オーエス」
提供元Cloudflare, Inc.(CDN・セキュリティで知られる米国企業)
公開2026年8月4日(米国時間)にオープンソースとして公開
ライセンスApache 2.0(ソフトウェア自体のライセンス料は$0)
提供形態自社のCloudflareアカウントにデプロイして利用(Managed版はDashboardでの提供が予定・料金未発表)
利用方法社員はブラウザからワークスペースにアクセス
ソースコードcloudflare/cloudflare-os(公式スターター: cloudflare-os-starter

Cloudflareは自社内ですでに数千人規模が利用していると発表しています(Cloudflareによる自己申告値)。一方で、公開されたばかりのEarly Access段階の製品でもあります。この点は導入時の注意点で後述します。

なぜ生まれたのか:汎用AIツールの3つの壁

ChatGPTのような汎用AIツールを会社に導入しても、現場の仕事がなかなか速くならない。多くの組織が突き当たるのは、次の3つの壁です。

1. 会社の「やり方」をAIが知らない

汎用AIは社内用語・業務手順・システムの癖を知りません。毎回ゼロから説明し直す限り、実務での時間短縮は限定的です。

2. 社内システムに届かない

AIが本当に価値を出すには、CRMやデータベースといった社内システムへのアクセスが必要です。しかしAPIキーを社員やエージェントに直接渡すのは危険で、誰が何をしたかの監査も困難になります。

3. 権限の境界が曖昧になる

「どのツールを使えるか」の管理だけでは不十分です。AIが「どのデータを見たか」まで追跡しないと、AIの成果物を社内で共有すること自体が、意図しない情報漏えいの経路になり得ます。

Cloudflare OSは、こうしたセキュリティ上の課題を利用者のリテラシーに委ねるのではなく、プラットフォーム自体に対策を組み込むという思想で設計されています。

仕組み:5つの構成要素

Cloudflare OSは、自社のCloudflareアカウント内にデプロイする「社内AIワークスペース兼AIアプリ作成基盤」です。全体は主に5つの要素で構成されます。

Cloudflare OS の構成要素と役割
構成要素役割
ワークスペース 社員がブラウザからAIエージェントと作業する環境。隔離された実行環境でエージェントがコードを生成・実行し、セッションや成果ファイルを保持します。
Gatekeeper AIと社内システムの間の「関所」。サービス専用のWorkerが操作単位で許可・拒否・人間承認を仲介し、参照を記録します。
AI Gateway すべてのAI推論リクエストの経由点。利用モデルの一元管理、コストの可視化、予算・レート制限を担います。
MCP Server Portal 社内のMCPサーバーを組織のカタログとして整備・公開し、エージェントが利用できる連携を管理します。
Blueprint / Gadget アプリやワークフローの設計図・部品。社内で共有・再利用され、誰かの「良いやり方」が組織の資産になります。

利用の流れ

社員はまずCloudflare Accessで認証され、ワークスペースにアクセスします。ワークスペース内のAIエージェントが社内システムを操作するときは、必ずGatekeeperを経由します。また、AIモデルへの呼び出しはすべてAI Gatewayを通るため、どのモデルをどれだけ使ったかを組織として把握・制御できます。

ノーコードを保証するものではなく、カスタム連携には開発が必要です。詳細は公式リポジトリを参照してください。

セキュリティ設計:権限ゼロから始まる

Cloudflare OSのセキュリティは「最初にすべてを許可して後から絞る」のではなく、「何も許可しない状態から必要な分だけ開ける」方向で設計されています。

  • 最初は何も見えない — すべてのエージェントとアプリはアクセス権ゼロで起動します。リソースへのアクセスは要求制で、管理者が許可・拒否を判断します。
  • Gatekeeperが操作を仲介 — 「読み取りのみ」「特定フィールドはマスク」「実行前に人間の承認」といった細粒度の制御を、操作単位で実現します。
  • 「見た情報」にポリシーが追従 — 参照したリソースは記録され成果物に紐付きます。閲覧者が元データの権限を持つかを検証し、機密データ参照後の外部送信なども制限できます。

ただし、これらの仕組みはリスクをゼロにするものではありません。プロンプトインジェクションや権限設計のミスといったリスクは残るため、読み取り中心の限定運用から始めることが推奨されます。

何ができるのか:部門別の代表的な使い方

ワークスペースでは、会話から文書・アプリ・ワークフローが生まれます。代表的な使われ方は次のとおりです(効果を保証するものではありません)。

  • 営業 — 商談準備の調査、提案資料の下書き、CRMの集計レポート作成
  • カスタマーサポート — 問い合わせとナレッジの横断検索、回答案・FAQの生成、傾向分析
  • 経営・企画 — 部門横断データのダッシュボード生成、経営会議向けサマリー
  • 人事 — 社内制度の質問応答ボット、採用スケジュール調整、オンボーディング資料生成
  • 情報システム — Gatekeeper・MCP連携の設計、アクセスポリシー運用、ログ監視
  • 管理部門 — 経費集計の確認、契約書の要点抽出、社内申請のワークフロー化

導入時の注意点

  • Early Access段階の製品 — 2026年8月に公開されたばかりで、公式スターターもリリースの固定と変更レビューを求めています。全社一括導入ではなく、限定PoCからの段階導入が現実的です。
  • 「置くだけ」では価値にならない — OSSをデプロイしただけでは業務は変わりません。業務選定、Gatekeeper・MCPの実装、社員への定着(研修)が必要です。
  • ライセンス$0 ≠ 運用費$0 — Workers・Access・AI推論等の利用料が別途発生します。詳しくは料金・費用ガイドを参照してください。

Cloudflare OSが自社に合うかどうか、業務選定の段階からご相談いただけます。

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